けれど、現実はもっと残酷なものだった。人類を救うために死ななければならないのは、一日に一人、占いによって選ばれた誰かが生贄となって死ななければならない。そして、その誰かを占って選ぶのは、他ならない僕なのだ。
生贄に選ばれた人は、いつも決まった場所、決まった時間に僕の目の前で息絶える。僕は数え切れないほどの人を殺し続けているのだ。
ああ、なぜこの世界はこんな仕組みなのだろう。数え切れないほど、僕はこのルールを疑った。このルールは、嘘や間違いなのではないか。本当は誰一人死なずとも、この人類は救われ続けるのではないだろうか。
しかし、その疑念を証明する勇気が、僕にはなかった。誰も死なせないという選択が、僕たちを滅ぼすことになるのが怖かったから。そして、これまでに死んでいった人たちの死の意味が失われることが怖かったからだ。この世界は、そういうふうに動いてしまうようになってしまったのだ。
だから、僕は毎日生贄を選び続けている。占いによって、僕が選ばれるその日まで。
この世界が狂っているのか、それともこの俺が狂っているのだろうか。その答えが出たところで、それは解決するわけでもない。答えが出れば、それはすぐさま俺を狂気へと駆り立ててしまうだろう。だから、どうしようもないのだ。そうやって誤魔化さなければ、もはやどうしようもないほど俺たちの生きる世界は追い詰められているのだろう。
「……俺は、何のために生きているんだ?」
堪らず、言葉が零れてしまう。けれど、その言葉はすぐに消え去り、部屋は静まりかえるのだった。
答えはどこからも帰ってこない。当たり前だ。ここには俺以外誰もいないのだ。
部屋の明かりはもう落とされ、俺は布団の中で眠ることができず、目まぐるしく変わる思考を追いかけ続けている。
俺は何のために生きているんだろう? それがわからない。これが、俺が狂っているのではないかと思ってしまう原因でもあった。もしかしたら、俺以外の世界中の誰もが何かのために生きていて、僕だけが何のためにも生きていない、人間として狂っているのではないだろうかとさえ、不安になるのであった。
しかし、反面、何かのために生きようとしている世界中の誰かが実は狂っているのではないかと、自己正当化をしたいがために思おうともしている。
わからない。俺が何のために生きているのかも、俺以外の誰かが何のために生きているのかも。
何かのために生きなければいけないと誰が決めたわけでもないのに、どうして俺は何かのために生きているのかを考えているのかがわからない。
この疑問が、俺のひとつの思考の根にあるものだ。何のために? そして何故、俺が?
誰にも使命が与えられることなく、そして運命なんてものもなく、俺たちは生きているのかもしれない。
わからないままに、俺は考えなければならない。
*****
大体750字。
SSというより、自分の内心の告白だな。
恥ずかしいような気もするけど、本当のことだからしょうがない。
こういう自分の感じてる問題っていうのをちゃんと表現できるようになったら、その問題を小説のテーマにできると思うし、とにかく文章活動もこれからやっていく。
最終的に小説を書いて、何かに投稿するか、同人でNVLゲームを作る。