第一章 和音の基礎
1.調性と主音
調性とは、主音と呼ばれる1個の中心音を基礎として形成される特定の音関係をいう。
この音関係は音階の形で表される。
2.音階
音階とは、一定の秩序で配列された音の階段をいう。
音階は主音から主音までの8個の音を含んでいる。
cdefgabc(オクターブ)
3.長音階と短音階
音階を構成する各音相互間の音程関係によって、長音階と短音階の2種に分れる。
長音階cdefgabc 2212221
短音階cde-fga-b- 2122122
長音階によって表される調性は長調と呼ばれる。
短音階によって表される調性は短調と呼ばれる。
4.24個の調性
音楽に用いられる12の音は、いずれも主音としてそれ自身音階の基点となりうる。
この場合、主音として採用された音の音名が調性の呼び名となる。そこで例えば、
Cを主音とする長音階によって表される調性はC長調とよばれる。
Aを主音とする短音階によって表される調性はA短調と呼ばれる。
このようにして、それぞれ12の音を主音とする長調と短調、合わせて24個の調性が存在する。
5.7個の音度
音階を構成する各音は音度とよばれる。
主音はⅠ度とよばれ、以下順次に上方に向かってⅡ度・Ⅲ度……と数えられる。
C長調 c d e f g a b c
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ (Ⅰ)
A短調 a b c d e f g a
Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ (Ⅰ)
6.和音
和音とは、一定の秩序によって組み合わされたいくつかの音の集団をいう。
ある音の上にその3度と5度の音を積み重ねた和音を3和音という。
最初にとられた基礎音を根音、3度上の音を3音、5度上の音を5音という。
音階の各音度上にはいずれも3和音を構成しうる。これらはⅠ度の和音・Ⅱ度の和音……とよばれる。
C長調
Ⅰ ceg
Ⅱ dfa
Ⅲ egb
Ⅳ fac
Ⅴ gbd
Ⅵ ace
Ⅶ bdf
A短調
Ⅰ ace
Ⅱ bdf
Ⅲ ceg
Ⅳ dfa
Ⅴ egb
Ⅵ fac
Ⅶ gbd
8.構成上から見た3和音の種類
これらの3和音は、それを構成する三つの構成音相互の音程関連によって次の3種類に分けられる。
長3和音
長調のⅠ・Ⅳ・Ⅴ
短調のⅢ・Ⅵ・Ⅶ
短3和音
長調のⅡ・Ⅲ・Ⅵ
短調のⅠ・Ⅳ・Ⅴ
減3和音
長調のⅦ
短調のⅡ
9.同一和音の種々の形態
和音は実際には上に上げたような原形のままで用いられることはむしろきわめてまれであり、多くの場合次のようなしかたで変形されている。
1)和音構成音の一つまたは数個をそのオクターヴ上の音によって取り替えることができる
原形
ceg
構成音の移動
cge
ce<g
c<eg
2)また、和音構成音の一つまたは数個を、そのオクターヴ上で重複することができる
原形
ceg
構成音の重複
ceg<c
ceg<e
ceg<ce
3)上の二つのしかたを混合することができる
原形
ceg
構成音の移動と重複
cg<ce
ce<cg
cg<e<c
要するに、和音は同盟の構成音から成り立っている限り、その構成音がどのように置き換えられ、またどのように重複されていても常に同一の和音である。
たとえば上に上げた和音はいずれもc・e・gの三つの構成音のみからなりたっているから、全部同一の和音である。