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2024/11/24 07:34 |
和声(4和音)

※4和音にはバークリー理論に基づいたコード表記を勝手にしてるとこが一部あります。この本のだとわからんようになってしまいそうなので。

第12章
 各音度上の4和音
①4和音は3和音と同じく音階の各音度上に構成される
長調:Ⅰ△7・Ⅱm7・Ⅲm7・Ⅳ△7・Ⅴ7・Ⅵm7・Ⅶm7(♭5)
短調:Ⅰm7・Ⅱm7(♭5)・♭Ⅲ△7・Ⅳm7・Ⅴm7・♭Ⅵm△7・♭Ⅶ7

②4和音は基本形と三つの転回形を持つ。

 構成上から見た4和音の種類
 長短両調各7個ずつの4和音は構成の相違によって次の4種に分けられる。
長7の和音
長調:Ⅰ△7・Ⅳ△7
短調:♭Ⅲ△7・♭Ⅵm△7

自然7の和音
長調:Ⅴ7
短調:♭Ⅶ7

短7の和音
長調:Ⅲm7・Ⅵm7
短調:Ⅳm7・Ⅴm7

減5・7の和音
長調:Ⅶm7(♭5)
短調:Ⅱm7(♭5)

 4和音の用法
①4和音は5度下(4度上)に根音を有する(3和音・4和音・5和音)へ進む。

②7音は連続下行する(7音の解決)
※7音が解決する際、その解決音を直行によって重複してはならない。

③7音は前の和音から延長して到達される(7音の準備)
※ただしⅤ7の7音は準備がいらない。

 基本形の進行
①基本4和音はふつう5度下に根音を持つ基本形4和音(または3和音)へ進む。
 したがってバスは5度下行(または4度上行)する。
※第2転回形4和音へ進むこともできる。

②基本形どうしの4和音の連結においては、いずれか一方が不完全形となる。
 その際、強拍にあるほうを完全形にしたほうが良い。

③強拍に置かれた基本形4和音の7音は、ふつうソプラノに置くのがよい。

 第1転回形
①第1転回形4和音はふつう強拍に置かれ、次の弱拍で基本形3和音へ進む。
 したがってバスは2度上行する。
※第3転回形4和音へ進むこともできる。

②第1転回形においても、強迫に置かれた4和音の7音はふつうソプラノに置くのがよい。

③転回形では不完全形は用いない。

 第2転回形
①第2転回形4和音はふつう強迫に置かれ、次の弱拍で基本形3和音へ進む
 したがってバスは2度下行する。
※基本形4和音へ進むこともできる。

②第2転回形のバスは、しばしば前の和音から延長して到達される。
 その場合に7音をソプラノに置くことは好ましくない。
 両外声間の同時的な移勢(シンコペーション)は、安定を欠くために一般に避けなければならない。

 第3転回形
①第3転回形4和音はふつう強拍に置かれ、次の弱拍で第1転回形3和音へ進む。
 バスは7音であるから常に前の和音から延長して到達され、次に2度下行する。
※第1転回形4和音へ進むこともできる。

②第3転回形においては、ソプラノに3音を置くことが好まれる。

 短調の4和音
 短調の4和音(または3和音)の構成音は本来すべて固有音のままである。ただD和音と用いられたⅤの3音(導音)だけがその例外である。

 4和音のソプラノ課題の実習
①基本形・第1転回形
 ソプラノにおいて強拍に延長された音が次の弱拍で2度下行しているときには、この音を7音とみなしうる。
 この場合には、ふつう基本形と第1転回形が用いられる。

②第2・第3転回形
 ソプラノにおいて次のジグザグ型が現われるときには4和音を用いうる。
2度上行、3度下行、2度上行、3度下行、2度上行
 この場合には、ふつう強迫に、ソプラノの音を3音とする4和音の第2転回形、または第3転回形が用いられる。後者のほうがはるかに多く用いられる。

 D2和音としてのⅡ7
 Ⅱ7はD2和音としてカデンツ形成に重要な働きをする。
 D2和音であるからⅤまたは終止的Ⅰの第2転回形へ進む。

 4和音の連続使用
 7個の4和音はいずれも適当な先行和音(準備を含むもの)から任意に導きうるが、いったん導かれた4和音は下の順序に従って5度下行を続け、安定和音Ⅰへまで導かれるのが普通である。
Ⅰ7→Ⅳ7→Ⅶ7→Ⅲ7→Ⅵ7→Ⅱ7→Ⅴ7→Ⅰ
※バークリー理論の書き方ではないので注意。
※ドミナント・モーションの♭のコードを抜いた進行とみることができる。

 各音度上の5和音
①各音度上の5和音
 5和音は4和音と同様に音階の各音度上に構成される。

②5和音の用法
 5和音の用法は4和音とほぼ同様である。
a.5度下に根音を有する和音へ進む。
b.多くは連続的に用いられる。
c.9音および7音は前の和音から延長され(Ⅴ9の9音・7音を除く)、次に2度下行する。
※5和音を連続的に使用するには5声部を必要とする。
※4声部では1つおきに4和音または3和音が現れる。
d.転回形では用いられず、常に基本形である。
e.4和音とは異なり、ただまれにしか用いられない。
f.Ⅱ9はD2和音として単独にも用いられる。

 付加6の和音
①付加6の和音
 Ⅳの3和音の上に根音から数えて6度の音(6音)を加えるならば付加6の和音Ⅳ6ができる
※Ⅳ6はⅡ7の第1転回形と同形である。しかし、これらは全く異なる原理に基づいて構成されているのであるから混同してはならない。

②Ⅳ6の用法
 Ⅳ6はⅣと同様S和音である。したがってT和音Ⅰへ進む。
 5音は前の和音から延長して到達され、6音は2度上行する。
 常に基本形で用いられ、基本形Ⅰへ進む。

③Ⅳ6の変形
a.Ⅳ6は5音が省略されることがある。
b.また5音が省略され、かつ根音から数えて4度の音(4音)が加えられることもある。
 長調の場合では4音は3音よりも下方に置かれなければならない。ただし、3音が前の和音から延長して到達されるときは例外である。
 短調のだアイではこのような制限はない。
 Ⅰへの進行に際しては、4音は2度上行する。

④Ⅳ6の変質
 Ⅳ6の6音もまた上行変質することができる。'Ⅳ6としるされる。
 変質された6音は2度上行する。
※短調においては、変質された6音の進行が不可能となるので用いられない。

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2009/01/30 20:54 | Comments(0) | TrackBack() | 音楽製作

長調でCをⅠと捉えると

Ⅰ/Ⅴ:Ⅴ=G

Ⅱ/Ⅴ:Ⅵ=A

(Ⅲ/Ⅴ:Ⅶ=B)

Ⅳ/Ⅴ:Ⅰ=C

Ⅴ/Ⅴ:Ⅱ=D

Ⅵ/Ⅴ:Ⅲ=E

(Ⅶ/Ⅴ:Ⅳ=F)

こう考えるのかいいのか?

それとも

Ⅰ/Ⅴ:Ⅴ=G
♭Ⅱ/Ⅴ:♭Ⅵ=A♭
Ⅱ/Ⅴ:Ⅵ=A
♭Ⅲ/Ⅴ:♭Ⅶ=B♭
みたいな
要するに、四度圏表での時計回りになる感じで進むものとして考えればいいのかな。
とすると、ドミナント・モーションだよな、やっぱり。

上行変質はⅤに起こって、下行変質は短調のⅤ/Ⅴに起こるとか、理屈がわからねーけど、とりあえずそういうもんなんだろう。

いまは一度本を読み終えるまで通していかねーとなあ。


2009/01/30 17:13 | Comments(0) | TrackBack() | 音楽製作
和声(Ⅴの和音)

第10章
 Ⅴ7の和音
①Ⅴの3和音の上に根音から数えて7度の音(7音)を加えたものをⅤ7の和音という。
②Ⅴ7は長3和音と短7度からなりたち、長短両長において同形である。
③Ⅴ7は基本形と三つの転回形を持つ

 Ⅴ7の配置
 Ⅴ7は4個の音からできているので重複は必ずしも必要でない。4個の構成音をそれぞれ四つの声部に割り当てればよい。
 ただし場合によっては5音を省略することができる。その場合には常に根音を重複する。導音と7音とは重複できない。

 Ⅴ7の解決
 Ⅴ7はⅤと同様D和音である。したがってT和音Ⅰへ解決する。
 Ⅴ7の解決にあたっては
7音は連続度下行(7音の解決)
3音(導音)は連続度上行する。

 和声進行についての注意
①7音が解決する際、その解決音を直行によって重複してはならない。
②直行2度はすべて避けなければならない。
 直行7度・9度は上行によって達せられるならばさしつかえない。
 これに反して下行によって達せられることは避けなければならない。
 ただし7音が連続度下行で達せられるときはさしつかえない。

 基本形Ⅴ7の実習
①基本形Ⅴ7の解決は基本形Ⅰへ向かって行われる
※Ⅰの第1転回形へ解決することは禁じられた直行が生ずるため不可能。
②基本形Ⅴ7の解決においては、Ⅴ7かⅠかのいずれか一方が不完全形(5音を省いた形)となる。両方を完全形にすると連続5度ができる。
 多くの場合Ⅴ7を不完全形にするほうが実施が容易となる。

※近親調のⅤ7は、しばしば副Ⅴとして用いられることが多い。(ドミナント・モーションになるってことか?)

 Ⅴ7のⅥへの解決
①基本形Ⅴ7はまた、T和音Ⅵへの解決が可能である。
 Ⅴ7の解決にあたってはⅤ7-Ⅰの場合と同様
7音は連続度下行(7音の解決)
3音(導音)は連続度上行する。
②この解決においては、ふつうⅤ7は完全形で用いられる。5音を省いて根音を重ねるときは、この重ねられた根音の進行に困ることになる。

 Ⅴ7の第1転回形の実習
①Ⅴ7の第1転回形はバスに導音が置かれているから、常に基本形Ⅰへ解決する。
②Ⅴ7の転回形は特別な事情がない限り完全形で用いられる。

 Ⅴ7の第2転回形の実習
①Ⅴ7の第2転回形は基本形ⅠまたはⅠの第1転回形へ解決する。
②[Ⅴ7の第2転回形]-[Ⅰの第1転回形]の場合にかぎり7音が2度上行することが許される。

 Ⅴ7の第3転回形の実習
①Ⅴ7の第3転回形はⅠの第1転回形へ解決する。
②Ⅴ7の第3転回形の解決においては、「7音・導音」以外の音の動きはかなり自由に扱われてよい。特にソプラノにおいて、このような自由な動きはしばしば良い効果を持つ。

 Ⅴ7の根音省略形
①Ⅴ7はときに根音を省いて用いられることがある。これをⅤ7の根音省略形という。音度記号に斜線を引いて根音が省略されていることを示す。
 根音が省かれているので基本形はなく、三つの転回形があるだけである。
②Ⅴ7の根音省略形はⅤ7同様Ⅰへ解決する。7音と同音の進行もまたⅤ7と同様である。ふつうは5音を重複して配置する。
※[Ⅴ7の根音省略された第2転回形]-[Ⅰの第1転回形]の解決においては、7音は[Ⅴ7の第2転回形]-[Ⅰの第1転回形]の場合と同様2度上行することができる。
③[Ⅴ7の根音省略された第2転回形]・[Ⅴ7の根音省略された第3転回形]においては7音を重複することができる。この場合、一方([Ⅴ7の根音省略された第3転回形]においてはバス)が2度下行し、他方は2度上行する。

第11章
 Ⅴ9の和音
①Ⅴ7の上に根音から数えて9度の音(9音)を加えたものをⅤ9の和音という。
②長調のⅤ9は長9度の音(長9音)を持つので長9の和音
 短調のⅤ9は短9度の音(短9音)を持つので短9の和音とよばれる
③Ⅴ9は基本形と三つの転回形を持つ
※Ⅴ9の第4転回形が用いられない理由については次の項を参照のこと

 Ⅴ9の配置
①Ⅴ9は五つの音からできているので、これを完全な形で配置するには5声部を必要とする。4声部で配置するには5音を省略する。
②9音は根音より9度以上高く置かなければならない。
※したがってⅤ9の第4転回形は用いられない。
③長9音は3音(導音)より7度以上高く置かなければならない。
 短9音は導音の下方にも置きうる。
④ただし長9音でも準備があれば導音の下方にも置きうる。

 Ⅴ9の解決
 Ⅴ9はⅤ7と同様D和音である。したがってT和音Ⅰへ解決する。
 Ⅴ9の解決にあたっては
9音は連続度下行する(9音の解決)
7音は連続度下行(7音の解決)
3音(導音)は連続度上行する。
※Ⅴ9の第2転回形においては5音を省略することができないので、そのかわりに7音を省く。ただしこの形はほとんど用いられない

 和声進行についての注意
①連続5度または直行5度において、あとのほうの5度をなす2音中に9音が含まれるならばさしつかえない。
②根音と9音による9度が直行によって達せられることは基本形において上声部が2度上行して9音に達するときのほかは避けなければならない。
※導音と9音による7度については制限はない。
③8度をなす2声部が9度になったのちに再び8度になることは避けなければならない。

 Ⅴ9
 Ⅴ9はがいして9音をソプラノに置くのがよい。

 Ⅴ9の根音省略形
①Ⅴ7と同様Ⅴ9においても根音省略形が用いられる
 根音が省かれているので基本形はなく、四つの転回形があるだけである。
②Ⅴ9と同様
 長9音は3音(導音)より7度以上高く置かなければならない。
 ただし長9音でも準備があれば導音の下方にも置きうる。
 短9音の配置については、いかなる制限もない。
③Ⅴ9の根音省略形はⅤ9同様Ⅰへ解決する。
 連続5度または直行5度において、あとのほうの5度をなす2音中に9音が含まれるならばさしつかえない。
 根音と9音による9度が直行によって達せられることは基本形において上声部が2度上行して9音に達するときのほかは避けなければならない。
※導音と9音による7度については制限はない。
 8度をなす2声部が9度になったのちに再び8度になることは避けなければならない。

※根音省略されたⅤ9の第2転回形は基本形Ⅰに解決することはできない。連続五度ができるからである。
※[根音省略されたⅤ9の第2転回形]-[Ⅰの第1転回形]においては、7音は[Ⅴ7の第2転回形]-[Ⅰの第1転回形]の場合と同様2度上行することができる
※[根音省略されたⅤ9の第4転回形]は用いられることがまれである。バスの長9音は常に準備が必要である。

 根音省略されたⅤ9
①根音省略されたⅤ9の第1転回形はがいしてソプラノに7音を置くのがよい。

②長調の根音省略されたⅤ9の第2転回形は、ふつうソプラノに9音または7音を置く。ソプラノに3音(導音)を置きうるのは9音が準備される時だけである
※根音省略されたⅤ9の第2転回の解決和音Ⅰの第1転回形の3音をソプラノまたはアルトで重複することは許される。
 短調の根音省略されたⅤ9の第2転回形は、5音以外のどの音でもソプラノに置くことができる。9音の準備はいらない。

③長調の根音省略されたⅤ9の第3転回形は、ふつうソプラノに9音または5音を置く。ソプラノに3音(導音)を置きうるのは9音が準備される時だけである
 短調の根音省略されたⅤ9の第3転回形は、7音以外のどの音でもソプラノに置くことができる。

 D和音のまとめ
①Ⅴ上に構成されるすべての和音をしるすと次のようになる

Ⅴ7
根音省略されたⅤ7
Ⅴ9(長9)
根音省略されたⅤ9(長9)
Ⅴ9(短9)
根音省略されたⅤ9(短9)

②D和音の解決進行におけるバスの動きは、用いられるD和音がどんな種類のものであっても常に一定している。したがってこれら一定のバスの動きの上にはどんな種類のD和音でも任意に用いることができる。どの和音を選ぶかは和音の被疑木や声部進行の都合によって決定される。
例:Cが主音の場合のバスの動き(Ⅴ-Ⅰ)
 使用できるD和音の種類
基本形:ソからドへ(上行)
 Ⅴ・Ⅴ7・Ⅴ9(長9)・Ⅴ9(短9)

第1転回形:シからドへ(上行)
 Ⅴ・Ⅴ7・根音省略されたⅤ7・Ⅴ9・根音省略されたⅤ9・Ⅴ9(短9)・根音省略されたⅤ9(短9)

第2転回形:レからミへ(上行)
 Ⅴ・Ⅴ7・根音省略されたⅤ7・Ⅴ9・根音省略されたⅤ9・Ⅴ9(短9)・根音省略されたⅤ9(短9)

第3転回形:ファからミへ(下行)
 Ⅴ7・根音省略されたⅤ7・Ⅴ9・根音省略されたⅤ9・Ⅴ9(短9)・根音省略されたⅤ9(短9)

※第2転回形の時にはレからドの(下行の)動きも生じうる。ただしことのきにⅤ9を用いることは、9音の解決進行とバスの間に連続5度ができるために不可能である。
 そこで、レからドのときには次の和音しか用いられない
第2転回形:レからドへ(下行)
 Ⅴ・Ⅴ7・根音省略されたⅤ7

 Ⅴの上行変質
①Ⅴの諸和音(Ⅴ・Ⅴ7・Ⅴ9)の5音を半音階的に高めることができる。(上行変質音)これらの和音は、'Ⅴ・'Ⅴ7・'Ⅴ9のように示される

②'Ⅴの配置に際しては、上行変質音は重複することができない。
 また上行変質音と7音とが減3度をなすことは避けなければならない。
※上行変質音となった5音と7音が隣り合ってはならないということ。

③'ⅤはD和音である。したがってT和音Ⅰへ解決する。
 上行変質音は2度上行する。
 'Ⅴに含まれる3音(導音)・7音・9音がそれぞれ正規の進行をしなければならないことはいうまでもない。
 短調においては上行変質音の進行が不可能となるため、'Ⅴは常に長調においてのみ用いられる。

 'Ⅴはがいして上行変質音をソプラノに置くのがよい。

 Ⅴ/Ⅴの和音
 Ⅴ/Ⅴは本来Ⅴ調におけるD和音であるが、事実上原調におけるD2和音として考えられる。したがってカデンツ形成に重要な働きを持つ。
 D2和音であるからDである5または終止的Ⅰの第2転回形へ進む
①Ⅴへ進む場合
 Ⅴ/ⅤがⅤ7またはⅤ9へ進む場合には、Ⅴ/Ⅴの3音は半音階的に下行する。

②終止的Ⅰの第2転回形へ進む場合
 Ⅴ/ⅤがⅠの第2転回形へ進む場合には、ときにより次のような進行が生ずる
a.7音が同一音にとどまる。
b.9音が同一音にとどまる
c.9音が半音階的上行する

 Ⅴ/Ⅴの下行変質
①短調Ⅴ/Ⅴ諸和音(Ⅴ/Ⅴ・Ⅴ/Ⅴ7・Ⅴ/Ⅴ9)の5音を半音階的に低めることができる。(下行変質音)これらの和音はⅤ/'Ⅴ・Ⅴ/'Ⅴ7・Ⅴ/'Ⅴ9のようにしるされる。
 Ⅴ/'Ⅴにおいては、下行変質音はかえってその調の固有音(Ⅵ音)と一致する。にもかかわらず、この音はあくまでもⅤ/Ⅴにおける下行変質音としてみなされなければいけない。

②Ⅴ/'Ⅴの配置に際しては、下行変質音は重複することができない。
 また下行変質音と3音とが減3度をなすことは避けなければならない。
※下行変質音となった5音と3音が隣り合ってはならないということ。

③Ⅴ/'ⅤはD2和音である。したがってD和音であるⅤまたは終止的Ⅰの第2転回形へ進む。
 下行変質音は2度下行する。
 Ⅴ/'Ⅴに含まれる3音(導音)・7音・9音がそれぞれ正規の進行をしなければならないことはいうまでもない。

 増6の和音
 Ⅴ/'Ⅴの第2転回形を増6の和音という。
 増6は優秀なD2和音として、カデンツにおいて、はなはだ愛用される。
 もっぱらⅤ/'Ⅴ7の第2転回形・根音省略されたⅤ/'Ⅴ7の第2転回形・Ⅴ/'Ⅴ9(短9)の第2転回形の3種が用いられる。

 Ⅴ7・Ⅴ9の配置変化
①Ⅴ7の配置変化を行うときに7音をある声部から他の声部へ交換することができる。
 その場合、最後に7音を担当する声部が解決を行わなければならない。
 さきに7音を担当していた声部は交換に際してどの和声音に進んでもよいが、ただ根音にだけは上行できない。
※導音の交換も同様に可能である。その場合には特別な制限はない。

②Ⅴ9の9音もまた交換が可能である。
 交換を果たした声部は次にいかなる音に進むこともできる。また7音は、しばしば9音へ進む。

③Ⅴ・Ⅴ7・Ⅴ9は本質的には同一の和音である。したがって、その一つから他のものへ進んでも単なる配置変化と同様に考えられ、連続5度・8度を解消するには至らない。
 ただし減5度から完全5度の連続5度は配置変化の挿入によって解消する。

④Ⅴ上諸和音の配置変化に際して起こるすべての直行7度は良好である。


2009/01/30 16:45 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
和声(転調・借用和音)

第8章
 転調
 転調とは調性を変えること。ある調から他の調への移行のこと。初めの調を旧調といい、あとの調を新調という。

 近親長
 ある調(原調)から見て、その調と調合が同じか、あるいは一つ違いの調を近親調という。
※例
C長調の近親調:F長調・G長調・A短調・D短調・E短調。
C短調の近親調:F短調・G短調・E♭長調・A♭長調・B♭長調
※要するに、四度圏表で隣にある音が近親調になる。あとは長調か短調かの違い。

 特徴音
 旧調にはなく新調にのみ含まれる音を特徴音という。
 特徴音を含んだ新調の和音は特徴和音という。
 たとえばC-Gの転調における特徴音はF#であり、特徴和音はG:Ⅴである。
 特徴和音は最も明確に新調を示す和音であるから、転調にあたっては、まずこの特徴和音から新調にはいるのがよい。

 近親調への転調
 特徴和音がD2(Ⅳ・Ⅱ)であるときには、次にD(Ⅴ)を補ってからⅠに続ける。
 増2度上行して特徴音に達することは許される。
 特徴和音がT(Ⅵ)であるときには、Dにでも、またD2にでも続けられる。
 近親調への転調においては、旧調のいかなる和音からでも直ちに新調の特徴和音を導くことができる。

転調楽節の公式
 Ⅰ-[各音度和音]-[特徴和音]-(カデンツが続く
カデンツの作り方
 特徴和音が
ⅡならばⅡ-Ⅴ-Ⅰ
ⅣならばⅣ-Ⅴ-Ⅰ
ⅤならばⅤ-Ⅰ
ⅥならばⅥ-Ⅴ-Ⅰ
あるいはⅥ-Ⅳ(Ⅱ)-Ⅴ-Ⅰ

 半音階的進行
 ある音が1個の臨時記号(♯・♭など)によって変化されるならば、もとの音との間に半音階的半音を形作る。
 半音階的半音による進行を半音階的進行という。
 さて転調における和音連結中には両和音の構成音中に半音階的半音をなす2音が含まれる場合がある。
 このような2音は常に同一声部における半音階的進行として取り扱われねばならない。
 これに反して半音階的半音をなす2音が異なる声部に置かれることを対斜という。対斜は一般に避けなければならない。
 ただしこれらの2音中の一つが他声部で重複される場合には対斜を避けるわけにいかない。その場合には、どちらか一方の声部が半音階的進行をしなければならない。

※場合によっては、しばしば特徴音なしに転調が行われることもある。

第9章
 借用和音
 ある調において他調の和音が一時的に用いられることがある。これを借用和音という。
 借用和音の代表的なものとしては次の2種がある
①近親調から借用された副Ⅴ和音
②同主短調から借用された準固有和音
※②はモーダル・インターチェンジのことだと思う。

 「各音度の調」としての近親調
 さきに近親調を「調号が同じか、一つ違いの調」と定義した。しかし近親調はまた次のように定義することもできる。原調の各音度上の和音をそれぞれⅠと見るような調である。
 その調のⅠが原調の何度かにあたるかによって、近親調をそれぞれⅡの調・Ⅲの調……とよぶことができる。

 近親調からの借用:副Ⅴ和音
 一定調において一時的に近親調のⅤが借用されることがある。これを副Ⅴ和音という。
 副Ⅴ和音は近親調のⅤであるから、同じ調のⅠに解決する。しかるに近親調のⅠは常に原調のいずれかの和音に当たっているのであるから、したがって副Ⅴ和音は原調のいずれかの和音に解決することになる。そこで副Ⅴ和音は原調各音度上の和音を装飾するために一時的に借用された近親調和音であるということができる。解決原調和音のの音度が何度かであるかによってⅡのⅤ(Ⅱ/Ⅴ)・ⅢのⅤ(Ⅲ/Ⅴ)……のように呼ばれる。
※ⅡのⅤの場合は解決先がⅡになる、ということ。

①Ⅱ/Ⅴ
 短調のⅡは減3和音であるから副Ⅴ和音を持ちえない。
 長調のⅡ/Ⅴはかなり用いられる。

②Ⅲ/Ⅴ
 Ⅲについてはまだ述べていないから除外する。

③Ⅳ/Ⅴ
 長調のⅣ/Ⅴは特徴音を含まずⅠと合致してしまうから除外する。
 短調のⅣ/Ⅴはかなり用いられる。

④Ⅴ/Ⅴ
 Ⅴ/Ⅴは長短両調において、はなはだ多く用いられる。

⑤Ⅵ/Ⅴは長短両調において用いられる。特に長調の用例は多い。

⑥Ⅶ/Ⅴ
 Ⅶについてはまだ述べていないから除外する。

 同主調
 同一の主音を持つ長調と短調とは互いに同主調と呼ばれる。

 同主短調からの借用:準固有和音
①長調においては、その同主短調の全ての和音(Ⅰを除く)を一時的に借用することができる。
②準固有和音は、Ⅰ・Ⅴ以外の原調和音へ進むことはできない。したがって準固有和音は再び原調のⅠ・Ⅴに到達するまでは連続的に用いねばならない。

 副Ⅴと転調との相違
 副Ⅴと転調とは一見はなはだよく似ていて区別がつかないように見える。しからば両者の相違はどこにあるのであろうか。
 ある調において他調和音が現われても、その瞬間にはそれが転調であるか副Ⅴであるかの区別はつかず、ただ後続する和声のいかんによってのみそのいずれかに決まるわけである。一般に他調和音が現われても、その前後の原調関連が不動であるときには副Ⅴとみなすことができる。

 


2009/01/30 14:50 | Comments(0) | TrackBack() | 音楽製作
和声(3和音の転回形)

第6章
 基本形と転回形
 根音をバスに置いた形の和音を、基本形の和音という。
 これに反して根音以外の音がバスに置かれるならば転回形という。
 3音がバスに置かれるならば第1転回形、5音がバスに置かれるならば第2転回形という。

 第1転回形
 各音度の3和音は、それぞれ第1転回形とすることができる。

 第1転回形和音の配置
①根音と5音の重複は常に良好である。
※3音の重複はテノールにおいてのみ行われうる。
②第1転回形においては、ふつう省略は行われない。

 第1転回形和音の連結
 第1転回形和音を含む連結においては基本形和音の連結原則をそのままあてはまめることはできない。
①共通音があっても必ずしも同じ声部に置けない場合もある。
②共通音がなくても上3声をバスに対して反行させる必要はない。
 しかし各声部はできるかぎり、やはり最も近い音へ導かれるようにすべきである。そして、そのために必要ならば根音だけでなく5音・3音の重複も少しもさしつかえない。

 配置変化と和声進行
 同一和音の継続中に1ないし数声部が動くことを配置変化という。
※基本形と転回形を使うことで起こる。

 二つの和音の間の連続5度・8度は、第1和音の配置変化によって隔てられていてもやはり不良である。ただし、次のような場合にはさしつかえない。
①あとのほうの5度・8度が斜行によって到達される場合。
②連続5度・8度が反行による場合。
③あとのほうの和音の配置変化によってはじめて生ずるような連続5度・8度

 直行5度・8度は、第1和音の配置変化によって隔てられるときは何ら問題とならない。直行5度・8度はただ直接隣接する音どうしの間だけで問題となる。
 また、配置変化によって同一和音内に生ずる直行5度・8度はさしつかえない。

 第1転回形の機能
 原則としては和音は転回されてもその機能は変わらない。
 ただし、Ⅵの第1転回形はTとしては用いられない。
①T和音としてのⅠの第1転回形は、基本形に比べて安定性が弱いため、曲の最初と最後には置かれない。
②D和音としてのⅤの第1転回形は、バスに導音が置かれるため、次に必ず基本形のⅠへ進む。
③S和音またはD2和音としてのⅣの第1転回形は、S和音としてはⅠ(またはⅠの第1転回形)へ、D2和音としてはⅤ(またはⅤの第1転回形)へ進む。
④D2和音としてのⅡの第1転回形は、常にⅤの基本形へ進む。
※Ⅱの第1転回形の3音は、テノール以外に重複しても必ずしもさしつかえない。

※ⅤとⅡとはいつでも容易に第1転回形にすることができ、その結果常にバスの動きがなだらかとなる。
※第1転回形を適宜に用いることによって全体の感じがたいへん柔らかとなる。

第7章
 第2転回形
 3和音の5音がバスに置かれるならば第2転回形を生ずる。
 各音度の3和音はそれぞれ第2転回形とすることができる。

 第2転回形の用法
①経過的に動く3個のバスの中央に用いられる
 次の二つのものが最も重要である
 基本形ⅠとⅠの第1転回形とを結ぶⅤの第2転回形
 基本形ⅣとⅣの第1転回形とを結ぶⅠの第2転回形
 これらの第2転回形和音はもっぱら経過的な意味しか持たないので、前後和音とともに一つの機能とみなされる。

②3個の同一低音の中央に用いられる。
 次の二つのものが最も重要である
 2個の基本形Ⅰの間のⅣの第2転回形
 2個の基本形Ⅴの間のⅠの第2転回形
 これらの和音はもっぱら装飾的な意味しか持たないので、前と同様、前後和音とともに一つの機能にみなされる。

③終止的Ⅰの第2転回形
 Ⅴの直前に置かれるⅠの第2転回形
 常に後続するⅤとともに1個のD和音のようにみなされる。
 Ⅰの第2転回形はⅤに比べて、より強い拍部に置かれねばならない。
 終止的Ⅰの第2転回形は全終止または半終止において好んで用いられる、ほとんど常にD2和音(特にⅡの第1転回形)によって先行される。

 異なる形体の同一和音と併用される第2転回形
①第2転回形が同じ和音の異なる形体(基本形・第1転回形)と併用されることもある。
②和音の配置変化によって生じた第2転回形が他の和音も続くこともできる。ただし、そのような場合にはバスは2度進行しなければならない。
③経過低音上の第2転回形が同一和音の他の形体に一時的に移る場合もある。


2009/01/30 00:19 | Comments(0) | TrackBack() | 音楽製作
和声(規則・配置・連結)

第二章
 声部の音域
 四つの声部はそれぞれ特定の音域を持っており、各声部はこの音域を守らなければならない。
 下例中、()内の音域は例外的にだけ用いうる。
ソプラノ C5~A6(B♭6)
アルト  G4~D6(E6)
テノール C4~A5(B♭5)
バス  (E3)F3~E5
※これは和声法での規則なので、これを応用する場合、その楽器の音域を把握し、それを適応させて考えていかなければならない。

 構成音の重複
 3和音を用いる場合、四声の場合必ず重複が起こる。原則として根音の重複が最も良好であるが、場合によっては5音または3音を重複してもさしつかえない。
※(後述されるが)Ⅴの3音である導音は重複することはできない。

 構成音の省略
 和音の構成音の省略は一般に避けたほうが良いが、場合によっては5音を省略することができる。
 しかし、根音と3音を省略することはできない。

 声部間の間隔
ソプラノとアルトの間隔 オクターヴ以内
アルトとテノールの間隔 オクターヴ以内
テノールとバスの間隔 12度(複5度)以内

 和音の配置
 密集配置と開離配置の二つの配置方法がある。
密集配置は、各和音の隣り合う構成音を配置する方法である。
開離配置は、各和音の構成音ひとつぶんだけの間隔を空けながら配置する方法である。

第三章
 進行
 音の縦の構成を和音といい、横の流れを進行という。
 単独の声部の旋律的な流れを旋律進行といい、二つの声部の同時的な進行を和声進行という。

 旋律進行
 避けるべき旋律進行
①長・短7度
②増音程
③複音程(9度より広い音程)

 和声進行
 直行、反行、斜行の3種類に分かれる。
直行:両声部とも同方向へ
反行:両声部が互いに反対方向へ
斜行:1声部のみ動き他声部は動かない

 2声部が完全5度・8度(1度)の間隔で進行することを連続5度・8度(1度)という。これらは直行によるものでも反行によるものでも避けねばならない。
※5度が連続しても、あとのほうが減5度ならばさしつかえない。

 2声部が直行して完全5度・8度・1度に達することを直行5度・8度・1度という。
 直行5度・8度では、両外声においてソプラノが連続度(2度)進行するものだけが良好で、それ以外は不良である。どちらか一方、または両方が内声であるときはすべて良好である。
 直行1度はすべて不良となる。
※(後述されるが、Ⅴの和音からⅠの和音に進行するとき)テノールにおける導音とバスにおけるⅤ音が、ともに同一の主音に達するとき、この直行一度は許される。

 和音の連結
 その時点の和音と次に進行する和音との間に共通音がないかを考えなければならない。
 共通音がある場合、共通音は同じ声部の同じ場所に留める。
 その他の音は次の和音のなるべく近い場所へ進ませる。
 共通音がない場合、バスの動きに対して上3声を全部反行させ、それぞれの次の和音の最も近い音へ進ませる。
※三和音の場合、一般に
※根音が5度(4度)で進行するときには共通音が1個
※根音が3度(6度)で進行するときには共通音が2個
※根音が2度(7度)で進行するときには共通音はない

※この和音連結についての約束は絶対的なものではないが、これが最も基本的な連結法なので、まずはこれに充分に慣れる必要がある。

第四章
 Ⅴの和音と導音
 Ⅴの3音は導音とよばれる。
①導音は常に短2度上行して主音へ導かれねばならない。
②導音は重複することができない。
③短調においては、固有のⅦ音を臨時記号によって半音高めることによって導音が構成される。
④テノールにおける導音とバスにおけるⅤ音が、ともに同一の主音に達するとき、この直行一度は許される。
 Ⅴ-Ⅰの連結においてソプラノがⅤの5音-Ⅰの根音と進むときには、Ⅰの5音は常に省略される。

第五章
 Ⅱ-Ⅴ・Ⅴ-Ⅵの連結
 Ⅱ-Ⅴの進行においては、バスを上行させ、上3声は共通音を結ばずにバスに反行させるのが良好である。

 Ⅴ-Ⅵの進行においても、導音は必ず主音に上行しなければならない。
※Ⅴ-Ⅵの進行は共通音のない連結であるから、本来は上3声を全部バスに対して反行させねばならないわけであるが、導音だけはその例外となる。

 一般に上3声をバスに反行させることは共通音のあるなしにかかわらず良好である。
 ただしバスが5度以上跳躍するときは、このやり方は連続8度(反行による)を含むので不良となる。

 カデンツの連鎖
 和声の流れは常にカデンツの種々の組み合わせによる連鎖として理解することができる。

 終止
 終止とは、文章でいうところの句読点のこと。文章にまとまりを作るためのものであるように、音楽にまとまりを持たせる。句読点に「、」や「。」があるように、終止にもいくつかの種類がある。
①全終止:ひとつの楽節がⅤ-Ⅰによって締めくくられること、完全な終止感を持つ。
②偽終止:全終止のⅠがⅥによって取り替えられると偽終止を生ずる。
③半終止:ひとつの楽節がⅤによって締めくくられること。最も不安定な終止。
④変終止:Ⅳ-Ⅰによる終止。全終止のような決定的な力を持たないかわりに、柔らかい、もの静かな感じを持っている。全終止によっていったん曲を閉じたあとに「つけたり」のようにして添えられることが多い。

 ソプラノから和声を配置する場合、だいたいにおいてⅠ・Ⅴ・Ⅳを優先的に考え、なんらかの理由によってそれが不都合な時にⅡ・Ⅵを用いるようにするとよい。
※古典(クラシック)の技法だから、現代商業(ポップ)とは違う部分もあると思うので、ガイドのひとつとして捉えること。この方法が絶対ではない。

 共通音の結合
①共通音は原則として常に結合することができる。
※その場合、特別の事情がなければ同一小節の中では1音符として書き、小節線を越えるときにはタイで結ぶ。
②ただし次の場合にはふつう共通音を結合しない。
 短い音符(の和声)から長い音符(の和声)へかけての(結合の)場合
 フレーズの切れ目

 


2009/01/29 23:41 | Comments(0) | TrackBack() | 音楽製作
管弦楽器によるアレンジ

ストリングスのハーモニー連結のコツ
①共通音は保留する
②第3音、第7音、テンションは重ねない(根音、第5音は重ねてもよい)
③導音(主音の長7度上の音)は主音へ、第7、9、13音は二度下行させる。
④メロディと一番下の声部はなるべく反行させる。

*****

ブラスのハーモニー
 ポピュラー・ミュージックのブラス・アレンジで最も多く使われるのは、ストリングス同様オクターブ・ユニゾンでしょう。最も多い組合せとしては、トランペットとトロンボーンが挙げられますが、その他トランペットとトランペット、トランペットとアルト・サックス等もよく使われます。気をつけることは、そのフレーズがそれぞれの楽器のどの音域を用いることになるのか、また、その楽器のその音域はそのフレーズに適しているかどうかということです。
 オクターブ・ユニゾンの次に多く用いられるブラス・アレンジは、コード演奏です。

3管のボイシング
 ポピュラー・ミュージックのブラス・アレンジの場合、3管を用い、トライアド(3和音)で動くというアレンジがよく聴かれます。トライアドのボイシングの種類は、2種類になります。
 そのままクローズの形(和音の構成音が隣り合っている)で用いる方法。
 上から2番目の音をオクターブ下げる、“ドロップ2”と呼ばれるオープン・ボイシングです。

4管のボイシング
 4管で4和音を演奏する場合、大きく分けて5つほどの方法が考えられます。
 トライアドの時と同様クローズにボイシングする方法
 上から2番目の音を1オクターブ下げる“ドロップ2”
 上から3番目の音を1オクターブ下げる“ドロップ3”
 上から2番目と4番目の音を1オクターブ下げる“ドロップ2&4”
※テンションを用いる場合はルートを省いて9thを配置します。上2声が短二度になるような場合は避けてください。
 オープン・ボイシングを用いる方法として、“スプレード・ボイシング”がある
スプレード・ボイシングの作り方
①一番下の声部にルートを置く
②内声の2声部は第3音と第7音を置く
③トップの音は必然的に第5音かテンションになる
※このボイシングの場合は、ストリングスのハーモニーで述べたように横の流れ(コードの連結)が非常に大切になります。なるべくなめらかに連結できるよう、共通音は保留し、特に内声ではあまり跳躍するような進行は避けましょう。このため、内声が第5音やテンションになることもあります。

5管のボイシング
 基本的な5管のボイシングは、4和音のクローズ・ボイシングにメロディ(トップ・ノート)を1オクターブ下で重複させて作ります。このボイシングは、ダブル・リードと呼ばれています。

 さらに高度なテクニックとして、この方法で作られたオクターブ下に重ねられている音をテンションに変えるというボイシングがあります。多く用いられるのは、メロディがコードのルートの音である時、オクターブ下に9thのテンションを入れるというボイシングや、メロディがテンションで、オクターブ下に別のテンションを置くボイシングなどです。

 次に“Voicing in 4th”と呼ばれる、4度音程が積み重ねられたボイシングをご紹介しましょう。
“四度配置”の作り方
①そのコードのコード・スケール(Available Note Scale)を確認する
②そのコード・スケール内の音を、メロディから順に下へ4度間隔にボイシングする。
 この時、アボイド・ノートのため、4度にできない場合は3度にしてもかまいませんが、続けて2回3度音程になることは避けましょう。また各声部間で♭9thの音程が作られることも避けます。そして、ドミナント7thコードの時には必ず第3音と第7音(トライ・トーン)を入れましょう。そうしないと、ドミナント・セブンスの機能が失われてしまうからです。

※ダブル・リード、クローズ、ドロップ2、ドロップ2&4、ドロップ3、四度配置の6つの配置方法がある。

6管以上のボイシング
 6管の場合、4声のクローズの上2声をオクターブ下で重ねて6声部にしたり、ドロップ2で4声を作り、さらに上2声をオクターブ下で重ねる一般にオミット2と呼ばれているボイシングなどが使用されます。
 またVoicing in 4thにする時は、まず5声のVoicing in 4thを作り、それにメロディの音(トップの音)を1オクターブ下、あるいは1オクターブ上で重ねてください。
 8管以上のボイシングは、まずブラス・セクション4本(サックスを除く)を4ウェイ・クローズあるいはドロップ2でボイシングし、その4声のパートの中から任意のラインを選び、そのラインをサックス・セクションのトップのメロディにして4ウェイ・クローズあるいはドロップ2でボイシングするという方法が、標準的なボイシングの仕方になります。

メロディに対するハーモニーのつけ方
 メロディというものは、コード・トーンであるものか、ノン・コード・トーンであるものかにまず分かれる。ノン・コード・トーンは、テンションであるものとテンションでないものに分かれる。
 ここではノン・コード・トーンに対してどういうハーモニーをつけるかについて述べていきます。
 一番簡単な方法としては、そのノン・コード・トーンの下にある最も近いコード・トーンを省いてハーモナイズする方法になりますが、ここでは、さまざまなアプローチ・ノート(全音、あるいは半音でコード・トーンに進行している音)としてハーモナイズする方法を述べていきたいと思います。

パラレル・アプローチ
 全音進行で、次のコード・トーンへアプローチしている音に対して使われます。次のコードへ全て全音で進行するようにハーモナイズします。

クロマティック・アプローチ
 半音進行で、次のコード・トーンへアプローチしている音に対して使われます。次のコードへ全て半音で進行するようにハーモナイズします。パラレル・アプローチをクロマティック・アプローチを連続して使うこと(ダブル・クロマティック・アプローチ)もできる。

ディミニッシュド・アプローチ
 半音あるいは全音でコード・トーンへアプローチしており、さらにそのアプローチ・ノートのメロディが、そこに設定されたコードをメジャー・スケールにした場合の第2音、第4音、第7音のどれかにあてはまる場合にのみ使うことができます。ただしターゲットとなるコードがディミニッシュの場合は使うことができません。これらの条件を満たしている場合は、メロディをトップにしてディミニッシュ・コードにハーモナイズしてください。

※紹介した以外にもいくつかアプローチの方法はありますが、まずはこれら3種類のアプローチの手法をきちんと理解しましょう。

*****
リズム体の中でのブラス・アレンジ
①コーラスの中でのリズム・パターンとしてのブラス・アレンジ
②コーラスの頭のきっかけとしてのブラス・アレンジ
③コーラスの終りのキメとしてのブラス・アレンジ
 ポップスやロックで頻繁に使われるブラス・アレンジの手法は、ほぼこの3つの要素に分けることができます。

リズム・パターンとしてのブラス・アレンジ・ルール
①毎小節、ブラスを出す。毎回、同じタイミング、同じリズムで出す(できれば、音型も似せる)
 毎小節ブラスを出したり、リズムを同じにしたり、音型を似せるのは、パターン化するためです。リズム・アレンジをパターン化する作業はとても大切なことなので、よいパターンを作ることができれば、とてもよいノリを作り出すことができるのです。逆に、悪いパターンはノリをまったく感じさせません。

②ブラスのフレーズを、1拍あるいは2拍以内に納めること
 フレーズが長すぎると鋭さがなくなるので、なるべく短いフレーズにします。短いほうがメロディの邪魔をしないので、アレンジもすっきりします。

③1小節の中の前半か後半かのどちらかに片寄らせること
 小節の変わり目を強調し、ドライブ感(ノリ)を出すためにはこうするのがよいでしょう。

④16分休符を要素として必ず使うこと
 16分休符を要素として入れると、ブラスの鋭さが強調され、フレーズの切れ味がとてもよくなります。

きっかけとしてのブラス・アレンジ・ルール
①コーラスが始まる1小節前(③拍目前後)からブラスのフレーズがスタートし、コーラスが始まった1小節目の1拍以内にフレーズが終わるようにする。
 コーラスの頭を強調するための助走的な意味で、ブラスのフレーズを先行させます。

②コーラスが始まる1小節前のフレーズの音型は、上行するか下行するかはっきりさせる
 上行、下行の形をはっきり出した方が、ブラス・フレーズの動きもはっきりしてわかりやすくなります。

③フレーズの最後の音はスタッカートで切るか、グリス・ダウンするのかのどちらかにする
 ブラスのフレーズの締めくくりとして変化をつけるためです。ただ伸ばしただけだと間が悪いことが多いので、このようにします。

キメとしてのブラス・アレンジ・ルール
①キメのフレーズは1小節内で作り、4拍目は必ず休符として残す
 キメのフレーズをだらだら長くしないためと、その後の余韻を休符で強調するためです。

②1小節前からキメのフレーズをスタートさせてもよい
 曲によっては助走のない方が良い場合もありますが、多くは助走があった方がよりキメが強調されます。

③助走フレーズ(キメの1小節前)は、単音あるいはオクターブ・ユニゾンで、キメの小節のフレーズは和音で行う。トップ・ノート(一番上のメロディ)は、なるべく高い音域に持っていく。
 助走部分よりもキメのところを目立たせるため、キメはなるべく和音にして音圧をかせいだ方がよいでしょう。

*****
バリトン・サックスとベースの組み合わせ型ブラス・アレンジ・ルール
①ベース・フレーズと一部ユニゾンか、全部ユニゾンにする
 こうすることによってベース・ラインを強調して、ノリを出すことができます。

②バリトンと他のブラスは対話をするようになるべく交互に用いる
 音色の対比ができ音域も幅広く使えるので、サウンドにも幅ができておもしろくなります。

*****
ブラス、ストリングス同時使用時におけるアレンジの鉄則
①ストリングスを和音で使った場合、ブラスは単音で使う
②ブラスを和音で使った場合、ストリングスは単音で使う
③両方とも単音で使う場合、大きなリズムで動くものと、細かいリズムで動くものとに分ける。あるいは、音域に差をつける(高い音域と低い音域)
④ブラスとストリングスが交互に出てくるようにアレンジする


2009/01/29 11:47 | Comments(0) | TrackBack() | 音楽製作
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24日ライブ

2009/01/24 13:40 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択
弱起とシンコペーション

弱起(じゃっき)とは、西洋音楽用語のひとつで、楽曲が第1拍以外から開始すること。また、楽曲の途中にあっても、あるフレーズが、小節の最初からではなく、その前の小節の途中から開始すること。また、その部分。

弱起のことをアウフタクト(独:Auftakt)とも言い、むしろその方が日本では一般的であるが、ドイツ語のAuftaktの語には、次のような意味もある。

弱拍のこと。
詩学で、強勢のない音節のこと。
西洋音楽にあっては、拍は、強拍のあとにひとつまたは複数の弱拍が後に置かれ、それを組み合わせて拍のまとまりと考える。拍のまとまりの中で中心となるものが小節であり、その組み合わせが拍子である。したがって、音楽のまとまりも強拍から弱拍に流れる。しかしながら、強拍の前に準備的な拍(または拍の一部)が置かれる場合がある。これがアウフタクトである。

アウフタクトは、ヨーロッパの言語における冠詞や前置詞のようなもの、また、詩行が冠詞や前置詞で開始するようなものとして説明されることが多い。実際、西洋音楽と結びつきの強いドイツ語などにおいて、名詞の前に置かれる冠詞や前置詞には強勢がない。従って、冠詞や前置詞で開始する詩を歌詞として曲を作るならば、冠詞や前置詞にはアウフタクトを充てるのが自然な方法である。

前置詞的意味合いから、西洋音楽を「強拍+弱拍(強拍の後に弱拍)」ではなく、「弱拍+強拍(強拍の前に弱拍)」の組み合わせで捉えるべきだという考えもある。市川宇一郎は自著の中で、アウフタクトは曲の先頭に対するアップビートであり、弱起に割り当てる英語が見つからなかった(既にアップビートが別の意味で使われてしまっていた)ため、同じ意味を表す言葉をドイツ語から持ってきたのだという説を記している。曲の途中で小説の先頭からフレーズが始まらないのも同じ理由であり、その意味でアウフタクト=アップビートだと記している。

弱起の楽曲にあっては、曲の最初の小節は、小節全体は書かれず、小節の後半の必要なだけが書かれる。このような小節を、不完全小節と呼ぶ。また、楽曲の最後も、弱起の分だけ拍を削り、曲頭と合わせて1小節分の長さとするように書かれる。この最後の小節も不完全小節と呼ぶ。ただし、特にある程度以上の長さを持つ楽曲では、曲の最後を不完全小節としないことも多い。

*****
シンコペーション(syncopation、切分法)とは、西洋音楽において、ひとつの音がより劣位の拍からより優位の拍に鳴り続けることによって生じるリズムのことである。

たとえば、ある小節の弱拍から、小節線と、次の小節の最初に置かれる強拍までタイによりひとつの音としてつながっていれば、それはシンコペーションのリズムである。このとき、後の小節の最初の強拍が、つながった音のはじめまでさかのぼって移動すると考えられることがある。

同じように、4拍子の小節の弱拍である2拍目から中強拍である3拍目にひとつの音としてつながっていれば、これもシンコペーションのリズムである。このとき、中強拍が2拍目にさかのぼって移動すると考えられることがある。

同じように、ある拍の後半から、次の拍にひとつの音としてつながっていれば、これもシンコペーションのリズムである。このとき、拍が次の拍の頭から音の最初にさかのぼって移動すると考えられることがある。

より細かいリズムにおいても同様に考えられる。

拍の移動については、このように前に移動すると考えるのが通常であるが、あるシンコペーションでない2つの音が、それぞれその音の半分の長さだけ遅れて発音されたためにシンコペーションとなったようなリズムの場合に、拍が後ろに移動すると考えることがある。

*****
弱起は、1拍目以外の拍のオモテで音楽が始まること。メロディの始点があること。

シンコペーションは、ある拍のウラからその次の拍のオモテまでメロディが続いていること。


2009/01/23 22:23 | Comments(0) | TrackBack() | 音楽製作
(no subject)
老人が年間460万円持たないとゆとりある生活を送ることができないというのなら、それ以下の年収で生活する労働者の立場はどうなるのだろう。

と、テレビ番組を見て思った。

2009/01/23 20:37 | Comments(0) | TrackBack() | 未選択

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